2014/10/27 - LIFESTYLE


本にまつわるエトセトラ / 佐渡の三人


本にまつわるエトセトラ / 佐渡の三人

空前の、佐渡島ブーム。

巷でそのようなものがあったかどうかはいざ知らず。
だが確かに、去年の夏に私の中ではそのブームが存在した。

この本を読み始めた時に、当時の職場の同僚が佐渡島に旅行に行ったのだ。
何やら、島に親戚がいるから何度か行ったことがあるとか、海の近くに田んぼがあるとか、トキがいるとか、能が有名だとか。
職場の同僚から次々と入ってくる佐渡島情報。
佐渡島に行ってみたいという衝動に駆られない筈がない。

しかし、金も時間もない当時の私にそのような旅程を立てる術はない。
ならば、せめて、本の世界で佐渡島を旅しようではないか。
そう思って、一心不乱に本の世界に入り込んだ。

フリーライターの「私」、ひきこもりな「弟」、古道具屋の「父(ヤツオ)」。
家族と親類で度々繰り返される、佐渡島への納骨の旅。

それは、何とものんびりした空気を醸し出していて、時に不謹慎で、でも、最後は「人が死ぬということ」がどういうことなのかを、生きている側の人間の視点できちんと語られている。

本の世界の佐渡島への旅は、納骨の旅であった。
何ともマニアックな旅である。
だが、いつか私も実際にこのカタカナの「エ」の字の格好をした島に行き、納骨の旅路をなぞってみたい。
そんな風にも思わせる、不思議な旅であった。

・佐渡の三人
著者/長嶋 有
出版社/講談社
発行日/2012/9/25
ISBN/978-4-06-217993-5


久米成佳
会社勤めをする傍ら、週末ライターとして活動中。
読書と農業と山登りが趣味。
好きな言葉は「晴耕雨読」

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